メキシコの代表的なお酒

メキシコ人に愛される、三種の国民的地酒

世界の国々や地域には、それぞれ民族、歴史、文化、伝統などと一体となって生まれ育まれた様々な酒類が存在しています。

 

メキシコにも国民に愛され続ける地酒が存在します。

メスカル(MEZCAL)、テキーラ(TEQUILA)、そしてプルケ(PULQUE)です。

『テキーラ』は世界的にも有名なお酒の1つですが、他の2つ『メスカル』や『プルケ』もメキシコ人にとっては日常的なお酒です。
1つ1つ説明していきますが、メキシコで生産されるお酒の種類は主に下記のように分かれています。

発泡性酒類 ・・・ ビール、発泡酒
醸造酒類・・・ プルケ
蒸留酒類・・・ メスカル、テキーラ、ラム

 

プルケについて

プルケは竜舌蘭(リュウゼツラン。アガベとも呼ばれる)から作り出された『醸造酒』で白濁したマッコリのようなお酒です。
アルコール度は、ほぼビールと同じでで比較的度数が低い酒類となります。

メキシコではリュウゼツランの総称を『マゲイ』とも呼びますが、この『マゲイ』という言葉は古代文明の頃から日常的に使われる一方で、神聖な植物とされ、宗教儀式や祭りにも欠かせないものだったといわれています。

プルケはこの植物の中心部にたまる樹液から作られます。
これをアココテと呼ばれる細長く巨大なひょうたんで吸い取って集め、大桶の中で7~14日間発酵させるとプルケになります。

今日でもその消費量は、メキシコで飲まれる総アルコール量の1/4を占めると言われ、大変愛されているお酒となっています。

 

メスカルとテキーラの違い

そもそもリュウゼツランで造られた酒は、総称で『メスカル』と呼ばれ、かつてテキーラもメスカルと呼ばれていました。
しかし、テキーラ村周辺で作られていたものが『テキーラ』と呼ばれるようになり、現在の固有な環境ができるにいたりました。
テキーラは様々に近代化され、世界中のマーケットで受け入れられています。

一方、現在『メスカル』と呼称されるお酒は、彼らの先住民の歴史から受け継がれてきたものがほとんどです。固有の言語を話し、独自の習慣を守り続けてきた文化があります。
オアハカ(メキシコで5番目に大きな面積を持つ州)のメスカルは古くから変わらずの製法で現在に至っています。

 

メスカルも一部近代化の波が訪れようとしていますが、確実に手作りのものは残っています。
彼らはテキーラがどのように歩んでいったかを知っているからです。

 

メスカルについて

メスカル(Mezcal)とは古代メキシコのメシーカ族の言語『ナウアトル語』の metl(メトゥル)とixcali(イスカリ)という単語が合成されたもので、リュウゼツランを主原料とするメキシコ特産の『蒸留酒』です。
プルケもメスカルも原料は同じですが、醸造酒であるか蒸留酒であるかという違いがあります。

メスカルの基礎知識

リュウゼツランの樹液は一万年前以上も前から狩猟・採集民族の間で飲まれていました。
現在のようなスピリッツとして飲まれるようになったのは、テキーラ同様に16世紀です。
その製法はスペイン人が伝えたものですが、スペイン人はアラブ人から学んだとされています。

 

メスカルに使用されるリュウゼツランはメキシコには200種類ぐらいの品種がありますがその中で12品種、更にその中の6種類と言われます。

・Agave Angustifolia HawAgave Esperrima Jacobi,Amarilidaceas
・Agave Weberi Cela,Amarilidaceas
・Agave Potatorum Zucc,Amarilidaceas
・Agave Salmiana Otto Ex Salm SSP(Trel) Gentry

 

1995年、メスカルはメキシコ公式規格(NOM)を厳正に満たし原産地名称の認定を受けました。

 

1. オアハカ州
2. ゲレロ州
3. グアナファート州
4. サン・ルイス・ポトシ州
5. サカテカス州
6. ドゥランゴタマウリパス州
7. タマウリパス州
8. ミチョアカン州 (2012年12月認定)
以上の8州です。

 

それぞれの地域によって独特の風味と味わいでその土地の個性が色濃く出ています。
製品にはIndustrial(工業製品)とArtesanal(手作り)と呼ばれるの二つに分かれます。
テキーラとはまた違った古典的な作り方となっています。

 

テキーラについて

『テキーラサンライズ』、『マルゲリータ』などカクテルでも利用され、上記2種より馴染みが深くなっているテキーラ。

「メキシコのお酒」としても知られていますが、アルコール度数が高く「強いお酒」としてのイメージが強く、敬遠されがちなお酒ですが、テキーラにも数々の種類があり、極上のテキーラはまろやかで飲みやすく美味しいお酒です。
しかし、日本ではまだ種類も消費量も少ないお酒となっています。

テキーラの歴史

テキーラの歴史には諸説もありますが、諸説の中の一説としてこの地方に暮らす先住民のNAHUATL(ナウアル)族によって発見されたと言われています。

ある日、雷がリュウゼツランの畑に落ちました。
数日後、リュウゼツランの幹に樹液が溜まっているのを先住民が見つけました。
これを飲んでみると粗悪ながらも発酵酒になっていました。
今で言うところの『プルケ』です。

その後、スペイン人が銅の『蒸留器』を持ち込みテキーラの原型である『蒸留酒』が出来あがります。
アルコール度数が強く、独特の癖のある蒸留酒となりましたが、メキシコ在住の酒豪達に受け入れられ、あっという間にハリスコ州(メキシコの中部にある州)中の酒場では『テキーラ村の蒸留酒』として有名になっていったのです。

テキーラ名称の由来

『テキーラ村の蒸留酒』が『テキーラ』と呼ばれるようになった由来には、こんな話があります。

当時の行商は、ラバに乗り街の行き来をしていました。

ラバの背に樽を乗せ行商をしていると、行商中にお客から注文がでるようになりました。

初めは

『テキーラ村のメスカル焼酎を持ってこい』

と言っていたのが、

『テキーラ焼酎持ってこい』

となり、さらに省略され『テキーラ』となったのではと考えられています。

 

スペイン語の流れで言うとこうなります。
“Traeme Aguardiente vino-mezcal de Tequila”

“Traeme mezcal de Tequila”

“Tequila”